天井に羽目板をDIYで貼る方法。無垢の木の天井で落ち着いた雰囲気に仕立てたい
3階にアトリエを作ろうとDIYで改装しています。
前回はこのサウナのように暑くなる部屋に、天井を抜いて断熱材を仕込みました。詳細は以下記事の通りです。
今回は天井に「杉の羽目板」を貼って無垢の木の天井を実現していきます。
動画でもUPしています。細かい動作等も見たい方は動画もおすすめです。
目次
ネット通販で羽目板を調達
ネットで1㎡あたり2000円代という杉無垢板にしては激安価格のものを見つけたので調達してみました。しかも実(サネ)加工+エンドマッチ加工+オイル塗装済みという代物。
エンドマッチ加工については以下に詳しく書いたのでご参考に。初心者がDIYで貼るならエンドマッチ加工推奨です。今回僕もこの加工がされているかで羽目板を探しました。
届いて触ってみると、9mmと厚みが薄いのもあってとても軽い!片手で楽々持てます。天井作業なので軽さは正義なのです。
側面には「実(さね)加工」という板同士が噛み合うための加工がされています。この実(さね)によって板と板の間に隙間ができないようになっています。
今回買った板は「本実目透かし加工」と言って、実を噛み合わせた時にオスザネが少し見える加工になっています。羽目板などの壁や天井に貼る板に多い加工です。
一方、「本実目透かし加工」の比較対象になるのが「本実突き付け加工」。板と板の間に実の見える隙間ができません。こちらはフローリングに多い加工ですが、羽目板でも存在します。
なぜこんな面倒な話をするかというと、この「本実目透かし加工」と「本実突き付け加工」で最初の1枚目を貼る向きが変わってくるからです。(オスザネ(凸)を手前にするかメスザネ(凹)を手前にするか)
この話はとりあえず頭の片隅に残しておいてもらえればOKです。実際どうするのかは、板を貼り始めてからお話したいと思います。
エアーコンプレッサーとタッカーを使って天井に羽目板を留めていく
いつもDIYではインパクトドライバーで済ませるのですが、今回は天井作業ということで過酷さが予想されるためエア工具を用意しました。
エアーコンプレッサーと呼ばれる空気を圧縮する機械です。
隣で新築を建てている大工さんに買うべきコンプレッサーの性能について相談していたら「試しに使ってみるか??」とのことで何と貸してもらえることになっちゃいました。
エアタッカーというガンを取り付けて、デカいホチキスの針的なものを木材に打ち込むことができます。
エア工具は初めてなので試し打ちをしてみました。一瞬で↓これです。単純に作業の時短になるし便利すぎます。
ちなみにほぼ買う決心がついていた道具が以下のセット。15L以下だとすぐエア不足になるが30L以上だと本体重すぎて階段の移動がキツい。パワー・容量・軽さ・静音性・値段とトータル的に考慮してこれに行き着きました。
エア工具の便利さを知ってしまったので、僕も次に必要な機会に買う予定です。
天井に木の板(羽目板)を貼る方法
ここまで事前情報を長々と書きましたが、ようやく羽目板を貼っていきます。
真っ直ぐ貼り始める為に基準線を出す
以下、写っている部屋の左側から貼り進めていきます。ちなみにどっちからでも問題ありません。
壁に対して並行に貼っていく為に、最初に貼り始める基準の印を出してやります。
羽目板の幅が100mmなので、
壁から100mmの位置に印を出します。
反対側の壁でも同じく100mmの位置にマーク。
両側で100mmの印が出せたら、「墨つぼ」という一発でライン上に線を引ける道具を使って両側の印を繋ぎます。
片方に針を刺して、糸を引きながら本体を反対側の壁に持っていきます。
この糸を指で摘んでパチンと弾けば、一直線のラインが印されます。原始的だけど便利な工具です。この線を頼りに1枚目を貼り始めます。
野縁(のぶち:天井の下地となる木材の木組み)にボンドを塗る
羽目板は「タッカー」+「ボンド」で固定していきます。タッカーだけでも結構な固定力ですが、天井なのでボンドも併用して万全を期します。
使うボンドは「根太ボンド」というもの。
普段見る黄色いボンドとは違い、ウレタン樹脂系接着剤なので固まった後も弾力性があります。よって湿度によって伸縮する無垢材の動きにも対応できる為です。
天井下地にボンドを塗っていきます。ベッタリ塗らなくても点でちょんと付けていけばOKです。
最初の1枚は雌実(凹)側を手前にして貼り始める
ここが一番重要なポイント。前述しましたが「本実目透かし加工」の羽目板の場合、メスザネ(へっこんでいる)側を手前にして貼り始めます。
さっき墨つぼで付けた基準線を見ながら板の位置を調整して…
メスザネの凹の中に、斜め上に向かってタッカーを打っていきました。
この角度で打つことで針が下地を捉えます。板は天井に固定され、次の列の羽目板を噛み合わせたときにタッカーの針は隠れてくれます。
メスザネの中とは別に、壁際もタッカーで留めてしまいます。壁際は後に「廻り縁」と呼ばれる仕上げ処理をするのでタッカー打ち込み跡が見えなくなるからです。
タッカー針は22mmを使っています。
「本実突き付け加工」の場合は逆に雄実(凸)側を手前にして貼り始める
一方で「本実目透かし加工」の板を使う場合は逆にオスザネを手前にして貼り始めます。そうすることでタッカーの針が隠れてくれます。
以下は床に貼っている絵ですが、イメージ的にはこれです。ひっくり返して見れば天井も同じです。
やり方はフローリングと同じなので、無垢フローリングを貼ったときの記事を見てもらうと分かりやすいです!
参考記事:【世界一分かりやすい】独立した和室を畳から無垢フローリングにDIYする方法
【余談:エア工具がなくても施工はできる】
ちなみに今回はエアタッカーを使っていますが、なにもエア工具を使わなければ羽目板を留めれない訳ではありません。
作業は大変になりますが、
・「インパクトドライバー」と「ミニビス(フローリングビス)」
・「フロアー釘」と「ポンチ」(備考:釘&ポンチは最安だけど天井でこの組み合わせはかなりの労力だと思います)
という組み合わせでもタッカーと同じ工程で天井板を固定することができます。僕も実際フローリング貼りではインパクト&ビスの組み合わせで施工しました。
エア工具は高すぎるし、多少時間と手間が掛かっても構わない…という場合は上記の組み合わせでやるのも有りだと思います。
1枚目を貼った後の隙間には、板を直接当てて寸法を出すと簡単&時短。
さて、1列目の1枚目を貼ると当然ながら以下のような残りの隙間が生まれます。
メジャーでこの隙間の寸法を測って板を切り出すという方法でも良いのですが…
もっと簡単・時短になるのが、直接板を当てて寸法を出してしまうことです。
板を当てて1枚目の終端部分に印を付けて丸ノコでカットするだけです。
カットした板を当てはめると、もちろんのことピッタリ収まります。
これを1枚目と同じようにボンド→タッカーで固定するだけ。
カットに関して、僕はスライド丸ノコという工具を使っていますが、普通の丸ノコでも全然OK。
おすすめは(というか僕が持っているのは)以下の2台。
関連記事:【各社比較】DIYにおすすめの丸ノコを紹介!後悔しない選び方のポイントを解説
関連記事:DIY初心者こそ安全性・精度が高いスライド丸ノコを使うべき。1年使い倒したレビュー
2列目の最初は1列目の余った部分を使う
1列目も貼り終わり、2列目の施工に入ります。この時1列目でカットして余った材から使います。
どういう事かというと、”2列目の1枚目”に”1列目の1枚目”とは長さの違う板を使う事で、継ぎ目がずれて見た目が美しくなるだけでなく、天井全体の強度UPになるんです。
2列連続で同じ部分で継ぎ目が続いてしまうと、何というか気分的に気持ちの悪い見た目になります。。。
よって、2列目の余りは3列目へ、3列目の余りは4列目へ。とズレていくのが最適です。
2列目以降は繰り返し作業
ここまで理解すればあとは基本的に繰り返し作業です。
- ボンドを塗る
- タッカーで羽目板を留める
- 余った部分に板を当て、ジャストサイズに板をカット
のリピート作業です。
上を向いての作業なので結構大変。1人でやっていると、板が貼られて変わっていく天井の景色が癒しです。。。
トラブル処理1:タッカーの打ち損じはマイナスドライバーで打ち込んだ
さて、貼り進めていると順調に行く訳もなくトラブルにぶち当たります。
1つ目のトラブルはタッカーの打ち損じ。タッカーの針が完全に埋まっていなく中途半端に埋まった状態で飛び出てしまってます。これでは次の列のサネが入りません。
そこで、マイナスドライバーと金槌を使ってタッカー針を奥まで押し込んでやりました。
実際、この打ち損じが15回に1回ぐらいあって時間を喰う要因になりました。
タッカーは保持力が強く羽目板貼りに適しているのは間違いないのですが「本実目透かし加工」の場合、ブラッドネイラーかフィニッシュネイラーの方が適していると思いました。
これらのネイラーはタッカーより保持力が劣りますが、ボンドを併用しているならまず問題ないはず。
以下の2in1機ならタッカーとネイラー(釘)のどっちも使えるので打ちやすい方を試してみるのも有りですね。(もし僕が今からやり直すならフィニッシュネイルを使います。)
羽目板に電気配線を通す穴を開けておく
部屋の中央まで差し掛かると電気配線が1本出ていたので、部屋の真ん中に当たる位置を計算して10mmのドリルビットを装着して穴を空けておきました。
それを中央に貼ったらまた淡々と進めます…
トラブル処理2:羽目板が反っていてハマらない
しかし、ずっと淡々とはいかないものです。
羽目板は無垢の木なので自然界の物。板が沿っていたりする時もあります。
以下では沿っていたのかサネの加工精度が悪いかで繋ぎ目部分に段差ができています。
このせいで次の列の羽目板がガタ付きます。サネがうまく噛み合わなくて隙間ができてしまうぐらい。
なので、カッターで削って上手い事ハマるよう調整しました。
このトラブルも6畳のこの部屋で7~8回ぐらいあり、大幅に時間を喰う一番の原因に。
今回は安いものを買ったのですが、時間を掛けたくない場合は多少高くても信頼できる木材屋さんから買った方が良いかもしれませんね。笑
最後の2列はタッカーが入らないので「隠し釘」で留める
苦節を経てなんとか残すところ2列まで来ました。
ここからはタッカーが打てない狭さになるので、「ボンド」+「隠し釘」で留めていきます。
隠し釘は以下のようにゴムの部分だけを残して打ちます。あくまでもボンドが乾くまでの仮止め的な役割です。
2列目を全て隠し釘で地道に留めます。
残すところ最後の1列。最後の列はかなーり細いです。
最後の1列は板を縦にカットして細く
細いサイズに板をカットしていきます。これはスライド丸ノコでは不可能なので丸ノコでカット。
ボンドを塗ってカットした細い板を入れ込みます。もちろんサネは噛み合わせます。
最後の列も隠し釘でボンドが乾くまで仮り固定です。
ボンドが乾いたら隠し釘を取り除いていきます。
と言っても簡単。ゴムの部分を横から金槌で叩くだけ。
ゴム部分の釘だけパキッと折れて釘は中に残ります。かなり細いので以下のようにじっくり見ないと釘の跡は分かりません。
ついに羽目板を全面貼り終えました…!
壁沿いに「廻り縁」を取り付ける【仕上げ】
羽目板を貼っただけだと天井と壁の間に隙間が残っていたり、羽目板の壁際のカットや処理の甘さが見えてしまいます。
今回も元あった天井を剥いで、新たに羽目板を貼ったので隙間が出来ています。
そこで壁沿いに「廻り縁(まわりふち)」と呼ばれる仕上げ材を取り付けていきます。
仕上げ材に選んだのは12×18mmのホームセンターに売っていた普通の角材。実は廻り縁専用の資材も売っているのですが、材質がプリント合板で折角の無垢羽目板が台無しになってしまうので選択肢から除外しました。
買ってきたそのままだと天井材に比べて白すぎるのでクリアー色のオイルで濡れ色程度に染めていきます。
オイルを塗って数分置いたら拭き取ります。
艶無しクリアー塗装でも塗ると塗らないでこれだけ違いがでます。僕はワザとらしい濃い着色が苦手なので木目が引き立つこれくらいの色が好きです。
使ったオイルはいつも愛用しているユーロオイルクリヤー。
塗装が終わったら早速取り付けたいところですが、ここで一手間。材の端っこを45°にカットします。
この45°カットが後々完成度の違いに現れることになります。
参考記事:木材を30°や45°に切る3つの方法【マイターボックス・丸ノコ・スライド丸ノコ】
45°カットした方を入隅(壁と壁の突き当たり)に向けて廻り縁を貼ります。
1人でやってると抑えるのが辛いのでマスキングテープで仮止め。
廻り縁は隠し釘で留めるのが定番ですが、針が細くて打ち込むのに苦労したので急遽真鍮のレール釘を買って打ち込みました。
もしピンタッカーを用意できるならエアでバシバシ打っていけばOKです。フィニッシュネイラーだとピンタッカーより大きい痕ができるので許容できるか次第なところがあります。
釘は壁の下地柱が入ってる箇所に打ち込まないと保持力が皆無なので、下地のある位置に打ち込みます。
参考記事:壁の中の下地を見つける方法・探し方
残りの長さにカットして隙間のないように廻り縁を留めていきます。
入隅を45°にカットしたことで壁と壁の突き当たりは以下のように見た目の良い収まりに落ち着きます。窓枠や額縁と同じ処理ですね。
あとは部屋をぐるりと囲むように廻り縁を取り付ければ完成。
羽目板天井の完成。最高です!
和室を除いて白い天井の家にしか住んだ事なかったのですが、木の天井めちゃくちゃいいですね!
自分で貼った愛着もありますが、かなり気に入ってます。苦労したかいがありました。
このような天井が子供の頃から小さな憧れだったんです。
ちなみに今回掛かった材料費総額は「23,500円」ほど。安過ぎる…!(使った物リストは記事最後にまとめておきます)
もちろん工具に初期投資は必要ですが、天井の板貼りまでDIYする人は他のDIYもする人でしょうから買って損する訳がありません。
アトリエにする予定のこの部屋、天井のみ完成したので次回は床に取り掛かりたいと思います。
Youtubeの方が先に更新しているのでチャンネル登録してもらえると泣いて喜びます。
今回使った工具・資材リスト
■使用工具
・スライド丸ノコ
・丸ノコ
・エアコンプレッサー
・エアタッカー&フィニッシュネイラー(2in1)
・タッカー&ネイラーの針
・墨つぼ
・インパクトドライバー
・ドリル刃
・ハンマー
■使用資材
・杉の羽目板
・根太ボンド
・隠し釘
・廻り縁:12×18mmの栂プレーナー材
・オイル
・真鍮釘
次回は床を貼っていきます
次のアトリエ作りDIYでは床板を貼っていきます。
ホームセンターでたまたま安くて良い質感の杉板を見つけたので買ってきました!正式なフローリング材ではありません。
これがカッコ良くなるので次回もお楽しみに!
コメント一覧
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初めまして。
YouTubeを見させて頂いて私も杉板天井の施工を考えております。
そこで質問ですが、冬の乾燥した時期に施工した場合、夏の高温、高湿度で膨張しないでしょうか?
木は伸縮するので寒い時期に取り付けた場合、膨張した時に突き上がってしまうのでは?と想像しております。
現在施工された天井は問題ないでしょうか?
Youtubeの方に返信させてもらいました!