松煙と群青の天然顔料を入れてオリジナルカラーの漆喰を練ってみる

世の中には練り済みの色付き漆喰が多く売っています。しかしどうしても自分のイメージする色が見当たりませんでした。

そこで青と黒の顔料を漆喰に混ぜて和室に合いそうな自分だけのブルーグレイの色を作ってみました。

先に言っておくと、混ぜ方に失敗したかな…と思う点もあったり少しコツがいる作業でした!「こうした方が良かった」という点も含めて記事に残しておこうと思います。

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漆喰には「染料」ではなく「顔料」で着色が適する?

はじめに知っておきたい知識として何で漆喰を着色するかです。たまにネット上では「染料」の水性ペンキを入れて着色している方を見かけます。それはそれでしっかり色が付いているのですが、しっかり調べると漆喰に色を付けるには基本的にペンキなどの「染料」ではなく「顔料」がセオリーのようです。

染料と顔料は何が違うかというと、染料は水に溶けて繊維に染み込んで染まる着色剤。顔料は水に溶けず繊維に混ざる粒子の着色剤というイメージでしょうか。ミクロな世界を図にすると以下のようなイメージ。実際の目では同じ色に見える感じです。

以下日本左官業組合連合会のWebページからの抜粋です。

漆喰や白セメントに顔料を加えて着色ができます。…染料を壁に使うと雨に溶けて流れ出してしまいます。また、顔料を多量に混入すると強度が落ち、固まる時間の不定期になり、作業性が悪くなるなどよい影響を与えません。なるべく結合材の10%以下にしることが望ましいです。

引用:日本左官業組合連合会

こんな感じでいくつかの左官業界のページに漆喰には顔料でと書いてあることからも正統派は顔料による色付けだということが分かります。

染料は光による色褪せが出たり、水が掛かると溶け出してしまいます。一方顔料は染料に比べて耐光性や耐水性に優れているようです。その代わりムラなく混ぜ合わせるのが難しいのがデメリット。

ソースの無い僕の浅はかな考えなんですが、恐らくペンキで着色してしまうと漆喰繊維を染料で包む感じになってしまい、折角の調湿機能が損なわれてしまうのではないかと勝手に考えています。実験した訳じゃないので真実は分かりませんが、そうなると漆喰の良さを自ら殺してしまうことになってしまいます。

練り済みでない、粉の漆喰を調達した

世の中には練り済みで開封後に即壁に塗れる漆喰の方が多く流通しています。しかし練り済み漆喰はめちゃくちゃ高いんですよ…。壁一面だけとかなら量が必要ないので良いけど、一部屋まるごと塗るなど範囲が広い場合自分で溶くタイプだとびっくりするぐらい安く収まります。

「練り済み漆喰」と「粉から自分で練った漆喰」でどれくらいコストが変わってくるかは以下の記事で詳しく話しています。

関連記事:練り済み漆喰は高い!自分で練るより約7倍の値段。しかし手間と時間を考えると買う価値あるかも

という訳で粉の漆喰を調達しました。

選んだのは天然の素材で製造されている「大和漆喰」というもの。

本来昔からの漆喰は消石灰に海藻のり、麻すさを混ぜて作りますが最近は人工的な接着剤が入っているものも多いようです。人工的なものが体に悪いとは限らない。けどどうせ使うならなるべく天然のものが良いなというのが僕のスタンス。

これをホームセンターで売ってたでかいバケツみたいな容器に量を測りながら入れていきます。

注:この時点でドサっと粉をバケツに大盛り入れてしまったことが練るときに大変になる要因、いわゆる失敗だったと後で気付くのでした…。

ちなみに顔料を混ぜるだけなら練り済み漆喰に顔料を入れて色を付けても問題なさそうな気がします。粉の状態で混ぜるのと同じようにムラの無いように混ぜる必要はありますが。僕は安く済ませたかったので粉の漆喰を調達です。

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青:群青(ウルトラマリン)、黒:松煙の顔料を漆喰に混ぜて色を付ける

なるべく自然由来で害のない顔料を使いたい。調べてみると、青はウルトラマリン、黒は松煙(しょうえん)という顔料を使えば実現できそうというのが分かりました。

ちなみに漆喰に適した顔料も先ほどの左官組合のページが参考になります。以下のようにいろいろある模様。詳しくはリンク先に解説があります。

  1. 【赤系】ベンガラ(紅殻、弁柄、酸化鉄粉、鉄丹、鉄朱、錆粉)
  2. 【黄系】酸化黄
  3. 【青系】群青(ウルトラマリン)
  4. 【黒系】油煙・松煙
  5. 【緑系】青竹
  6. 【茶系】柿渋塗料

引用:日本左官業組合連合会

ウルトラマリンはラピスラズリという青い石を生成することによって得られる顔料。しかし、本当に石から取り出した天然のものは希少で高額なので、ウルトラマリンを構成している成分を人工的に掛け合わせて作られている合成ウルトラマリンを使います。実際探そうにも合成のものしか見つかりません。食品に入れても無害らしい。僕の用途では合成で十分。

白い漆喰にこれを混ぜていきます。

最初は全部使うか分からなかったので慎重に分量を測っていたのですが、結局ドサっと全部入れました。笑

次に松煙。松を不完全燃焼させて出たのスス。こちらはかなり安く手に入ります。

ただ黒い漆喰をムラなく塗るのもムラなく混ぜるのもとてつもなく難しいらしい(参考:原田左官のWebページ)

青と黒を混ぜているとはいえ、濃い色の漆喰なので素人が調合して塗ったらまずムラムラになるだろうなと…。しかし!今回は開き直ってムラを前面に押し出していく方向性で!それはそれでカッコ良くなるんじゃないかな。

黒の量が多いと青を飲み込んで漆黒になってしまいそうなので、松煙は様子を見て足していきました。

今回調合した分量は漆喰20kg(=20000g:1袋分)に対してウルトラマリンが500g、松煙が900g。写ってないけどバケツ2つに分けて作っています。

これを混ぜると。灰色な感じに。え、こんな色?と思いきや、

水を加えると一気に青っぽさが出てきました。

水の量は都度様子見て塗りやすいぐらいの固さを調節してった感じです。

漆喰を練るのも顔料をムラなく混ぜるのも大変。失敗して分かったことは少量ずつ混ぜる

今回、節約のために攪拌器という専用の電動工具を使わずに安くて非力なペイントミキサーというもので混ぜました。

結論を言うと、攪拌器買った方が良かったかもというぐらい大変でした。。。ペイントミキサーでも頑張れば掻き混ぜられます。ただし、コツがあります。

漆喰を練った時の大変だった話と失敗から学んだコツは長くなったので以下の記事で書きました。

関連記事:粉の漆喰を自分で練ってみたら大変だった話

漆喰は乾くと練った時の色より薄くなる

もう一つ知っておきたいのが、漆喰は乾くと乾く前の色より少々薄くなるということ。以下の練った状態だとかなり色が濃いように見えます。

乾くとこれより白っぽくなるんです。完成イメージの色より濃い目で作ることを意識するとちょうど良く仕上がるかと思います。

実際塗った時と乾いた時の色の差を見比べてみると。

乾くと以下のような感じの色味に。乾く前のドギツい彩度からは薄まってますよね。

そして案の定塗りあとにはムラが出ました。が、それがまた期待通りでいい感じでした!この漆喰を塗った様子と完成は以下で書いています。

>>DIYで和室の砂壁の上から漆喰を塗る

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