漆喰と珪藻土の違いを徹底的に調べてみた
同じような見た目の塗り壁だけど何が違うの?という人も多いはず。
僕も和室の壁を塗り壁にしようとしたとき「正直どっちでもいいでしょ。安い方でいいや。」ぐらいな気持ちでいました。
しかし、いざ商品をみて見ると書いてある性能が結構違うんですよね。表面の質感の違い、耐久性の違い、水に強いか否か。
場所によって適している方があったりで、どうもちゃんと調べた方がいいぞ。という事で調べたことを自分の中で詳しくまとめてみました。
目次
漆喰と珪藻土の違い早見表
まずはゴタゴタした細かい事は省いて、自分が気になった違いを簡単にまとめた表を作りました。
漆喰 | 珪藻土 | |
---|---|---|
原料 | 石灰+海藻などから取る糊材 | 植物プランクトンの死骸が堆積してできた土+固化材(メーカーにより様々) |
自硬性 | 有り(勝手に固まる性質) | 無し(固化材を入れないと自ら固まらない) |
調湿効果 | △ | ◎ |
消臭効果 | ◎(強アルカリ性により) | × |
抗菌・防カビ性 | ◯(強アルカリ性により) | × |
ホルムアルデヒドの吸着・分解 | ◯ | × |
耐久性 | 強い(CO2と反応し年々硬くなる) | 弱い |
外壁使用 | ◎ | ×(水に弱い) |
耐火性 | ◎ | ◎ |
表面の仕上がり | ツルッとしてる | ツブツブ、ザラザラしてる |
掃除の手間 | 硬くツルッとしてボロボロしにくい性質 | 漆喰より柔らかいものが多く表面もザラザラしているので床に落ちる可能性もある |
DIYでの施工性 | 難しい | 易しい |
業者依頼コスト | 資材の値段は変わらないが施工が難しく手間が掛かるため高い | 資材の値段は変わらないが施工が簡単で手間が掛からないため安い |
壁に使われた歴史 | 材料がシンプルで5000年ぐらい前から使われている | 1990年代に左官壁と使われ出し歴史は浅い |
この表で大雑把な「原料・意匠・性能・コスト」の違いは理解できるんじゃないかなと思います。
どうでしょう?こう見比べてみると、こっちが使いたい!というのが見えてきますよね。
ただこの表だと簡易的すぎるのでそれぞれの項目についてもう少しだけ深掘りして見ていきます。
『原料』と『自ら固まる性質』が漆喰と珪藻土の根本的な違い
漆喰と珪藻土は塗り壁材としての質感や機能は似ていますが、元になっている原料は全く異なります。
漆喰は石灰石や貝殻を粉状にしたものがメインの原料。そこにワラやスサを混ぜ海藻などから取り出した糊を混ぜて作りられています。
要するに『漆喰 = 石灰 + ワラ(スサ) + 海藻による糊』が原料となることが多いです。
漆喰の原料となる石灰には空気中のCo2と反応して硬化し元の石灰石の硬さに戻っていくという性質があります。左官材として壁に塗ってからも年々硬く固まっていくんですね。
一方、珪藻土は海や湖に長年堆積した植物プランクトンの死骸できた土のようなものがメインの原料。
珪藻土単体には乾燥すると固まるという性質はありません。ボロボロした土砂のようなものになってしまいます。
そのため左官材としての珪藻土は合成樹脂やセメント、石灰を大量に添加することにより硬化させます。これらが珪藻土以外の何かが入ることにより固まることができ、壁として成立する事ができるんです。
よって珪藻土の原料は『珪藻土 = 珪藻 + 固化材』となります。
原料比率の少ない珪藻土。漆喰の方が自然素材だけでできている場合が多い
上で話した原料だけで固まることができる力が何に関係してくるかというと、石灰・珪藻の原料比率です。
珪藻土は固化材を大量に混ぜる必要がある為に、珪藻の配合比率が50%などという事も多いようです。中には珪藻土を謳っていても10%なんて商品もあるそうです。。。
珪藻の比率が下がるほど調湿性などの機能も弱くなるし、商品にもよりますが自然素材以外の何かが入ってくる可能性も高いです。
ただ、勘違いしたくないのは合成樹脂などの接着剤が入っているからといって危険だ!という訳ではありません。日本で売られている以上は安全の基準を満たしているということです。
※安全基準を満たしていてもシックハウス症候群なんてものが存在するぐらいなのでその許容量は人によるとしか言えませんが。
最近では、珪藻土に混ぜる固化材に『石灰』などの自然素材を使ったり工夫しているメーカーも出てきています。珪藻土なんだか漆喰なんだか分からないですね。笑
珪藻土を選ぶ時は、
・固化材に何を使っているのか(確認できないことも多い…)
・珪藻の含有量は適正か(少なすぎても機能が弱く、多すぎても脆い)
がチェックポイントとなります。
ここまで話していて分かる通り、漆喰は石灰自らの力で固まることができるため素材がシンプルなんです。余計なものを足さなくても成立するのがメリットですね。
※メーカーによっては接着剤を入れる事もあるようです。。。要確認!
実は違いのある調湿効果。珪藻土が断然優位
調湿効果については漆喰・珪藻土どちらも凄い。と同列に語られることが多いのですが、実は珪藻土の方が特に優れています。
確かに最近お風呂マットに使われる珪藻土バスマットも凄い給水力ですよね!
実際にその能力値を数字で見てみると。JIS規格では24時間で70g/1㎡以上の調湿性能のあるものを調湿建材と認定していますが、珪藻土は200g/1㎡以上のものも。その性能が認められています。
一方、漆喰はJIS規格を満たす調湿性能がないようです。70g/1㎡以下の調湿能力ということです。それでもビニールクロスの10倍以上は吸い込む性質があるので使う価値はありますよね。
さらに漆喰は塗りたての頃こそ弱めの調湿効果はあるのですが、年々硬化していくごとにその調湿効果は失われていくようです。その分耐久力は上がっていきますが。
耐久性は漆喰が圧倒的。昔から城壁に使われたりするだけある
既に話した通り、漆喰は空気に触れ続けると石灰石に戻っていき硬さ・耐久力が上がっていきます。
日本でも昔から城壁などに使われるだけあり、とても長持ちするんですね。壁紙とは比べ物にならない耐久性です。
初期投資は漆喰の施工が高く、ビニールクロスの施工日の方が断然安いのですが、長い年月で見れば漆喰の方がコストパフォーマンスで上回ります。
その点、珪藻土は配合された固化材の硬さ以上にはならない事もあり耐久性としては漆喰に及びません。
また珪藻土は調湿性が強いものの直接水が掛かる場所には弱く、外壁には使えません。一方、漆喰は古来より外壁に使用され現代でも外壁に漆喰を使った家が見られます。
漆喰のアルカリ性は抗菌・防カビ・消臭効果に優れる
漆喰の石灰は強アルカリ性です。そのため抗菌効果に優れカビの繁殖も防ぐ特性があります。
この抗菌効果はニオイの元となる最近も無効化してくれるため消臭にも効果があります。トイレやペットのニオイが消え快適になるという話も見た事があるほどです。
一方、珪藻土には抗菌効果はありません。調湿効果に優れるという点ではカビにくい家を作るのに一役買ってくれそうですが、珪藻土自体がカビないという訳ではないのです。
湿気を吸ってくれるからこそ常に湿度が高い場所に珪藻土が使われればカビの発生条件が揃ってしまいます。珪藻土に適した部屋や場所をよく考えると共に水場近くに使う場合は石灰が含まれているアルカリ性に傾いた珪藻土を使う工夫などをすると良いですね。
表面の質感の違い
漆喰はツルッとした質感、仕上げ方にもよりますが少しの光沢もあります。珪藻土はザラザラした質感に仕上がります。
どっちが良いとかではなく、この辺は好みの問題になりますよね。
漆喰はヨーロッパなどでも良く見られ洋風にも和風にも合います。だからと言って珪藻土は洋室に合わない訳ではないですが、僕の中では和に合うイメージが勝手にありました。
個人的には肌が触れたときに珪藻土は痛いんじゃないかと思うのと、粒が落ちる(砂壁みたなイメージ)、細かい凹凸なので壁自体の掃除メンテナンスがしづらいのではないかと思っています。
施工難易度の違いと業者コスト
僕はDIYで漆喰を塗った事があり、珪藻土は経験が無いので客観的な経験談は話せませんが、漆喰の方が施工が難しいと良く耳にします。
かと言ってDIYで漆喰が塗れないほどでもありませんでした。まあ難しかったですけどね!最初はコテの使い方に戸惑い上手く行かないものの、コツを掴むと楽しくできました。
しかし、仕上がりはやはりDIYレベル。漆喰が乾くと各所の厚みの違いにより色ムラも発生します。
そういうのも含めてDIYとしての味として捉えられるか、自己満足できるかが漆喰をDIYで施工できるかのポイントだと思います!
珪藻土が漆喰より簡単だと言われるとしたら、漆喰より平滑に塗りやすい柔らかさがあるのか、はたまた適当な完成度でも塗りムラが出ないのかと言った使いやすさなのでしょうか…。この辺は推測です。笑
左官屋さんのホームページには職人でも漆喰の方が施工難易度が高く作業代金が高く付きますと書いてあったので、漆喰の方が綺麗に塗るのに熟練の技が必要なのは確かなんでしょうね!
漆喰・珪藻土のメリット・デメリットまとめ
長々とそれぞれの特徴について書いてきましたが、これらを要約すると記事冒頭に書いた表になります!
漆喰 | 珪藻土 | |
---|---|---|
原料 | 石灰+海藻などから取る糊材 | 植物プランクトンの死骸が堆積してできた土+固化材(メーカーにより様々) |
自硬性 | 有り(勝手に固まる性質) | 無し(固化材を入れないと自ら固まらない) |
調湿効果 | △ | ◎ |
消臭効果 | ◎(強アルカリ性により) | × |
抗菌・防カビ性 | ◯(強アルカリ性により) | × |
ホルムアルデヒドの吸着・分解 | ◯ | × |
耐久性 | 強い(CO2と反応し年々硬くなる) | 弱い |
外壁使用 | ◎ | ×(水に弱い) |
耐火性 | ◎ | ◎ |
表面の仕上がり | ツルッとしてる | ツブツブ、ザラザラしてる |
掃除の手間 | 硬くツルッとしてボロボロしにくい性質 | 漆喰より柔らかいものが多く表面もザラザラしているので床に落ちる可能性もある |
DIYでの施工性 | 難しい | 易しい |
業者依頼コスト | 資材の値段は変わらないが施工が難しく手間が掛かるため高い | 資材の値段は変わらないが施工が簡単で手間が掛からないため安い |
壁に使われた歴史 | 材料がシンプルで5000年ぐらい前から使われている | 1990年代に左官壁と使われ出し歴史は浅い |
この表自分が見ても一目でめちゃくちゃ分かりやすいです!笑
どっちが使いたいか・自分の家の環境に合っているか吟味して選んでみるのが良さそうですね。
次は市販の色付きカラー漆喰商品をまとめてみました
最近流行っている色付き漆喰。我が家でも使おうかと思っていろいろ調べたので、書き残しておきました!
質問でも感想でもお気軽にコメントどうぞ!