シーリングファンが部屋の温度差解消や節電に効果があるのか実験してみた
以前、部屋にDIYでシーリングファンを取り付けたことを書きました。なぜファンを導入したかというと、部屋内の上部と下部の温度差を解消したかったからです。
特に冬にエアコンを付けると頭と足の部分で感じる体感温度が全く異なり気温の差がひどいんですよ。冷え性だから足先は凍えるし、対して頭だけ暖かくてノボせたようにボーっとしてくる。この状態がホント不快で自律神経も崩壊です。
この不快感を解消しようと、シーリングファンを部屋に取り付けてからは体感的に効果がある事を実感していました。これでとりあえず問題は解決したし満足はしたんですが、どのくらい効果が出ているのか明確な数値として知りたくなったので我が家を使って実験してみました。ついでに節電の効果についても考察してみます。
測定環境
測定する部屋は以前セルフリノベーションした1階のリビング。もともと2部屋に分かれていましたが壁を取っ払って広い1部屋にしています。天井も抜いたため50cmほど高くなりました。
(*´・ω・`)o0(散らかっていた洗濯物と子供のおもちゃを撮影前にめっちゃ頑張って片付けました。この記事を公開する頃には既に元の悲惨な状態に戻っていることでしょう)
環境
- 部屋の大きさ:約25㎡
- 天井の高さ:最大290cm
- エアコン:10畳程度用のもの1機
- シーリングファン:WF401(オーデリック)1機
備考
- 天井を抜いた分広くなった部屋の体積に対してエアコンのパワーが弱いので部屋が温まるのが遅い
- 木造戸建ての1階なので、床からの底冷えが強い
- 元あった天井を抜いたため、2階の床が1階の天井。天井部分の断熱なしで2階の部屋の冷気が入りやすい
- 部屋に窓は3箇所。全てカーテン無しなため冷気の流入が多め
- 後ろにリビング階段があり、カーテンを設置しているものの冷気の流入はあり
- 全体的に高気密・高断熱とは程遠い環境の部屋
測定方法
100均で温度計を3つ買ってきました。本当はデジタルで小数点第一位まで測れるものが欲しかったけど急遽実験のできる環境(嫁と子供がいない環境)となったため急ぎ近場でお買い上げ。
写真では見えないけど、同じ場所に置いておいたところ3つとも約11℃を示しており大きな誤差は見られないことを確認しています。
これらの温度計をエアコンの直接当たらない、部屋の床・真ん中・天井付近のそれぞれ3箇所に設置して室温の変化を追ってみることにしました。
測定箇所の高さは、下(床から5cm)、中(部屋の中間の床から145cm)、上(床から260cm、天井からは30cm)のところでそれぞれ設置。実際に設置した様子は以下。
上部はライティングレールの上に設置
中部と下部は家にあった木材にビスを打って、そこに温度計を引っ掛けました。
エアコンの設定温度は24℃ 強風を持続。
結果と考察
測定したのは以下の3つのデータ
- (1回目 測定1):部屋が冷えきった状態からエアコンだけを付けて部屋温度の変化を測定( 5分おきにプロット
- (1回目 測定2):各測定部位で温度が安定したらファンを回し部屋温度の変化を測定( 5分おきにプロット
- (2回目 測定3):部屋が冷え切った状態からエアコンとファンの両方を回して部屋温度の変化を測定( 5分おきにプロット
試行回数は2回ですが、ファンの効果として個人的に興味のある3種類のデータを取りました。
エアコンのみの室温変化(ファン停止)
エアコンを付ける前の部屋温度は3箇所それぞれ以下の温度。2日間家にいなかったので壁も床もキンキンに冷えた状態からスタート。
上:11℃
中:11℃
下:9℃
エアコンをスイッチオンしたら風向はMax下向き。参考程度に外気温は5.4℃くらいです。
以下が90分間の測定結果
数値だけ見ても分かりづらいので、グラフとして視覚化するとこんな感じです。
想定通り上部の温度が高く、下部に行くにつれ低くなる結果となりました。
だいたいエアコン起動から60分の地点でそれまで続いていた室温上昇が止まり温度が安定しています。これは窓や床、天井から流入してくる冷気とエアコンの暖気のエネルギーの釣り合いがこの部屋でほぼ取れた状態になったためだと考えました。
上部と下部では測定前の温度差は2℃でしたが、エアコンを起動すると90分後にその差は9.6℃まで広がる結果に。ほとんどの暖気が人の身長では届かない天井付近に溜まっていて、折角エアコンを起動しているのにエネルギーも電気代も非常にもったいない状態となっているのが分かります。
温度に注目してみると、人の上半身地点となる中層部は約18℃と快適な温度ですが、下部は12℃と生活するには寒い温度。これじゃ冷え性になるのも仕方ないかも…。
次に測定するエアコンと同時にファンをつけた結果に期待したいところ。
エアコンとファンの両方稼動した場合の室温変化(ファン稼動)
1回目測定した翌日の早朝。コレまた部屋が冷え切った環境を用意しました。
温度計を見てみると奇跡的に3箇所全てが1回目の初期温度と同じ温度を指している!奇跡!外気温3.5℃くらいなので窓ガラスなどから流入する冷気は1回目よりちょっと強いかもしれないというのだけが備考。
上:11℃
中:11℃
下:9℃
エアコンと同時にシーリングファンをスイッチオン。
測定結果がこちら
グラフ化してみる。
驚いたのは上部より中層部の温度が90分通して高かったこと。ファンの効果で暖気は天井付近に溜まらずしっかり降りてきていることが分かります。
1回目と2回目の測定結果を重ねてみると。
上部と中層部はファンにより空気がかき混ぜられた結果が顕著に出てますね。
しかし思ったより数値が動いてくれなかったのが下部の温度。90分時点での温度差は1.2℃。正直微妙な結果だ…笑 ファンを回しても数値が伸びなかった原因として考えられるのが、部屋の気密性・断熱性が悪いからだと推測しています。
窓・天井・壁・ドアの隙間から流入する冷気が底に集まりファンで空気をかき混ぜたとしても、それ以上に流入してくる。底冷えによる床からの冷気流入も原因だと思う。フローリング自体が冷えているからファンによる空気の撹拌で暖かい空気が床にぶつかっても空気が冷たくなってしまうものかと。下部は床から5cmの高さで測定しており、この影響をもろに受けた可能性が高いですね。実際に体感としては底20cm以下からググッと温度が低くなっていると感じられました。
もしこの考察が正しいならば、一般的に気密性・断熱性の高いと言われるマンションであれば床付近の温度も上昇しやすくシーリングファンは絶大な効果を発揮するのではないかと。戸建てでも床暖房と併用すると最強だと思う。
途中からファンを回した場合の室温変化
もう一つ計測したデータとして、エアコンのみを起動した1回目の測定後、室温が安定した90分以降にファンを起動して室温の変化を追ってみました。
そのグラフがこちら(表は作ったけど縦に長いので省きます)。
ファンを稼動させてからはかなりの効果が出ていることが分かります。ここでもやはり中層部と上部の温度が逆転しました。
160分と長く測定してフローリングが温まったからか下部もグンッと温度を上げてきています。もっと長くやればまだまだ伸びそうだったけど、この時点で深夜2時を回っていたのでさすがに止めました。笑
この結果から考えられるのは、シーリングファンが人の生活する層の温度を速やかに適温にしてくれるというのはもちろんのこと、エアコンを頻繁にON-OFFするより数時間の外出であればずっとONにしたままにする方が床が冷めなくて節電になるだろうと言うことです。一度OFFにすると床や壁が冷え切ってまた温度をあげるのに多くのエアコンのエネルギーが消費されますからね。夏の話ですが実際以下の様な話を見かけました。
【実験結果】
エアコンを24時間
つけっぱなしにしてみた。左 つけっぱなし
右 つけたり消したりやばい。なんだこれ。 pic.twitter.com/xEESkGSqUj
— カナイ@ワクドキ探し (@koukaisisakurai) 2015年9月10日
↓このツイートに対してのリプライ
目安ですがエアコン立ち上がりから1時間のコストが27円,エアコンの運転が安定してからの1時間あたりのコストが3円です.単純計算,消してから9時間以内につけるのであれば消さないほうがいいです. https://t.co/yw6jKlU4lS
— 回路師 (@kairoshi) 2017年7月23日
やっぱり運転初期にエネルギーがいるため、消したり付けたりより付けっ放しの方が節電になるんですねぇ。
ここまでで分かったこと
ここまで実験して分かったことは、先ほどのグラフを見ても分かる通りシーリングファンを回すと室内の温度解消にかなりの効果があるということです。実際にファンを取り付けてからは以前より快適に過ごせています。
しかし、天井高290cmと一般的な家より天井が高く、気密性・断熱性の弱い我が家の場合は床付近の温度を上昇させるのに時間が掛かりました。約25㎡の広さにパワーの足りないエアコン1台だったというのも影響しているでしょう。
もしこれが戸建てより気密性・断熱性が優れるマンションであれば、もっといい結果がでると思います。
シーリングファンは電気代の節約になるのか?
今回は部屋内の上下でどれくらい温度差を無くせるかを主題に置いた実験なので、消費電力に関しては測定しません。ですが、折角データを取ったので室温変化の結果から節電に対しての考察はしてみたいと思います。
消費電力の数値を取っているわけではないので参考程度に聞いてください。
このファンのon/off比較グラフを見ると、中層部・下部ともに早い段階からファンの効果で温度の上昇が見られます。
人間の生活圏である中層以下の温度上昇が早い(暖房効率がいい)ということは、早々に暖房の設定温度を下げられることに繋がり、結果的に電気代の節約にもつながるでしょう。
うちで使っているファンのメーカーであるオーデリックの公式発表によるとエアコンの設定温度を1℃変化させると約10%の省エネ(節電)効果があるとのこと。
設定温度を1℃下げることができた場合、実際に電気料金としていくら節約になるのか計算してみます。
まず、シーリングファンに掛かる電気料金を算出してみます。
我が家のWF401というACモーターのシーリングファンは風量(強)で回した時18.9Wの消費電力を要します。一般的な電気代27円/1kWhで計算してみると、1時間回した場合の電気代は以下になります。
18.9W÷1000×1時間×27円=0.51円
1日中回してても、0.51円×24時間=12.24円
1ヶ月(30日)回しても約367円です。
※もしこれがDCモーターを使った省エネシーリングファンのWF810であれば、消費電力3.8Wなので1ヶ月回し続けても約74円という安さ
次にエアコンの電気代が10000円/月だとすると、1℃下げられたら10%節電で-1000円になり9000円/月です。
ここにシーリングファンの電気代を加味しても、1000円-367円=633円/月 安くお得になります。設定温度を1℃ではなく2〜3℃下げられれば結構でかい金額になってきます。2年〜3年ぐらいでファン本体の初期投資分も回収できそうです。初夏や晩夏なんかは実際に扇風機として役割を果たしてくれることで、エアコン付けなくても凌げる日も多いですからもっと早く回収できているかもしれません。
次はシーリングファンを自分で取り付けた時の話もどうぞ
オーデリックのシーリングファンを選んだ経緯から自分で取り付けた様子まで書いています。
コメント一覧
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こんにちは。
家を建てようとしていて、まさにシーリングファンの設置を検討していました。
断熱性と気密性がよければもっと効果が、、、と書かれていますが、
参考までに、この測定を行った家の断熱性と気密性がどの程度か教えて頂けますか。
ぼちさん、こんにちは!
断熱・気密に関しては、全ての壁引っぺがして見たわけじゃないんで正確には分かりませんが25年くらい前の建売レベルです。窓もシングルガラスだし、リビング階段があるのも暖房効率が悪い要因です。
今の建売の方が数倍機能が良いんじゃないかと思います。最新の建売には住んだ事無いし、私は実家がマンションなので正しい比較が出来るわけじゃないですが。。。(マンション比べると当たり前ですが今住んでる戸建はめちゃくちゃ寒いです)
天井の高さや階段の位置にも寄りますが、実験の場だった今私が住んでる戸建よりぼちさんが新しく建てる家の方が建築資材もいろいろと進化してますし効果は顕著になると思いますよ!